内視鏡検査では、医師が患者の胃や腸に検査機器を挿入して消化器内部を観察します。内視鏡検査は患者の心身に負担がかかるため、負担を和らげる薬剤の投与が欠かせません。内視鏡看護師は内視鏡検査に必要な薬剤の知識を身に付けておく必要があります。
内視鏡検査に必要な薬剤は、様々な種類があり、患者の状態に応じて使用の可否や量が決まります。基本的には人体に無害な薬剤を用いるのは当然ですが、緑内障や前立腺肥大症など患者の抱える持病によっては禁忌とされる場合もあるため、患者から既往症などについて詳しく聴き取りを行い事前に把握しておくことを忘れてはいけません。また、持病がなくてもPET検査など他の検査も同時に行う場合には、投与できない薬剤もあります。腸の内視鏡検査と同じ日にCTスキャンの検査を行う場合には、グリセリン浣腸が禁じられる場合があることも留意しておかなければなりません。さらに、人体に無害な薬剤であっても、検査後に尿に排出されると異常な色になることもあり、患者が驚かないように予め伝えておくことも重要です。
特に内視鏡検査で用いる麻酔薬については、麻酔医がいない状況で使用されるので内視鏡看護師の役割は重大です。内視鏡検査で使用する鎮静剤も単なる睡眠薬ではなく、呼吸停止を招くおそれのある危険な薬剤であることを肝に銘じておく必要があります。呼吸抑制の観点から、鎮静剤と鎮痛剤を併用する時が特に危険だと言えるでしょう。呼吸抑制が起こってしまったら、拮抗剤を投与することになります。